研究について

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光を応用した研究

光の持つ抗うつ効果を、人工光を用いて活用する治療法として光線療法があります。現在、当講座では光と神経新生に着目して研究を行っています。

河野健太郎講師は、5日間の高照度光照射が健常成人の脳に及ぼす影響を18F-FDG PETを用いて検討しました。光照射は、右嗅皮質の糖代謝を亢進し、神経新生を間接的に示唆する所見を得ました(Kohno et al., Acta Psychiatr Scand, 2016)。現在は、平川博文講師が、健常成人と気分障害患者において、1ヶ月間の高照度光照射が神経新生を促進するか、18F-FDG-PETによる機能画像と共にMRIによる形態画像も検討することで、高照度光療法による神経新生を多角的に精査しているところです。その結果、健常成人において、高照度光照射は、左海馬歯状回頭部の体積を有意に増加させる所見を得ました(Hirakawa et al., J Psychiatr Res, 2021)。今後も高照度光が脳に与える影響を精査・解析していく予定です。
また、平川講師が行った、18F-FDG PETを用いて環境光と脳機能の関連を精査した研究では、左小脳虫部の糖代謝と環境光が有意な負の相関を示しました(Hirakawa et al., BMC Neurosci, 2018)。環境光により、気分に抑制的に働く小脳虫部の機能を抑えて抑うつに傾くことを予防している可能性が示唆されました。環境光と気分には関連があることから、環境光を遮断することそのものに抗躁効果がある可能性があります。 白浜正直先生(現・県立精神医療センター)や泉寿彦助教が従来の薬物療法に加え、患者さんがサングラスを装用することで正常気分に早く回復する可能性を探っています。

  • 高照度光照射と嗅皮質の関連(Kohno et al., Acta Psychiatr Scand, 2016)

  • 環境光と小脳虫部の関連(Hirakawa et al., BMC Neurosci, 2018)

高照度光照射は健常成人の左海馬歯状回頭部体積を増加させる(Hirakawa et al., J Psychiatr Res, 2021)